【研究局】令和2年度 第3回局会報告 持ち寄り研①
7月26日、第3回の研究局会がzoomで行われました。
今回は一学期に行った題材の持ち寄り研修です。
各校の取り組みを授業者の思いとともにご報告します。
【立川市立第一小学校 春原先生】
「一小花火」(5年生)
子供たちが楽しみにしていた地域の花火大会やお祭りが中止になって、「つまらないなー」と話していたのを聞いて、「じゃあ、みんなで花火をイメージして学校を明るく楽しくしよう」と思って考えた題材です。
本校には、大きな階段の上に広いスペースがあります。窓もたくさんあって光が差し込む空間なので、障子紙とインクを使って、光に透けるといいなと思って材料を決めました。
【杉並区立東田小学校 小林先生】
「Oh!my pen」(4年生)
あまり共同で活動できないので、一人で没頭できるものができたらいいなと思って、4年生で枝を削ってペンをつくりました。枝をカッターで削り、ペンをつくり、かいてみるという題材です。
「絵の具でゆめもよう」(4年生)
絵の具でいろんなことをやって、色んな紙をつくって絵本にしました。
ハブラシ、ビー玉、あみなどを使って、「筆じゃないものでどんなもようができるかな?色んなことを試してみよう!」投げかけました。小さい模様だったので、一冊の本(模様図鑑)のようにしました。蛇腹につなげてみたり、切って貼る子もいたり…楽しんでつくっていました。また、「本読みカード」をつくって、お家の人にもコメント書いてきてもらいました。すてきなコメントを書いてくださるお家の方もいて、見てもらえてよかったなと思いました。
手のひらサイズだったので、子供たちもやりやすい大きさで没頭して活動していました。夢中になれるって大切な時間だな、と思いました。
【練馬区立石神井東小学校 田中先生】
「今年も咲いたよ!」(6年生)
6年間変わることなく、今年も睡蓮が咲いていました。それを見て感じたことや6年生になった気持ちを見つめて、自分の気持ちを絵を通して表現してほしいという題材です。
6月から学校が始まり、分散登校の期間中にスケッチにでかけました。
普段遊んでいる場所だけど、じっくり見ると、メダカが泳いでいることなどを発見していました。今まで午後の授業があまりなかったので気にしていなかったのですが、午後になると睡蓮の花が閉じるということに私も驚きました。分散登校で午後に授業をすることになったことによる気付きですね。午後の子供たちもびっくりしていましたが、そのままつぼみの状態を見て、表現していました。
今回は紙を使わずに、スタイロフォームを基底材にして、形や大きさを子供たちに考えさせました。子供たちに6年間という時間も意識して欲しくて描画材は低学年で使用していたクレヨンにしました。
・つぼみや花で自分の気持ちを表現した子
・花を一つ描いて、それが暗い心を照らしてくれると表現した子
・工作の方にのめりこんで、つくりこんだ子。
・お父さんとけんかをしたときの気持ちを表現した子
・水連が目立つよう周りに装飾した子
・めだかが睡蓮に集まってきているのがいいなと思った子
・開いた睡蓮をイメージした子
・自信と不安というテーマを表した子
・一つだけ花をかいて、そのまわりに葉っぱをかいて、「みんながあなたを見守っている」というイメージで描いた子
などなど、子供たちはそれぞれの思いを表現していました。色で気持ちを表したり、毎年咲く喜びを表していたり、波乱万丈な感じを表していたりしていました。
「子供の心が動く時」で今回考えたのが、自分たちの生活の中にあるもの、つまり普段目にしているものを、実際に見たり、自分の手で触れたりしながら「あらためて感じる」という、「実感」を通すことで、より自分の思いが立ち上がってきて、「こうしたい」という気持ちが生まれるのではないかなと思いました。
【新宿区立戸塚第一小学校 河原先生】
「未来に向かって」(6年生)
9.11のアメリカ同時多発テロがあった時、「たくさん人が亡くなっているのに、普段と変わらない図工の授業をやっていいのか?子供たちと、このことについて図工で考えるべきではないのか?」という思いから「ただいま建築中」という絵の題材を八王子市の辰野先生が行いました。また、多摩市の柴﨑先生は3.11の東日本大震災の時に、「きぼうの手プロジェクト」を立ち上げて、震災復興のプロジェクトを行いました。
「社会で何かが起こっている時は、図工の授業でもなにかできるのではないか。」
そのような図工の先生たちの実践を近くで見てきたので、今回のコロナ禍の中で、子供たちとこのことについて図工の授業で考えるべきではないのか?と自然に思いました。そこで取り組んだのが、デジタルカメラで水を撮る題材です。
テーマは「希望」。
撮影計画で、今の自分の気持ちを確認したり、撮りたい写真の計画を練りました。ワークシートで、少し計画を練っただけでも子供のイメージは広がると考えます。
材料も大事だと考え、基本的に図工室のものは使っていいと伝えました。鏡が1枚あるだけで表現が大きく変化します。6年生なりに考えながら取り組んでいました。暗い部屋の中で、スポイトで水を垂らしながら、そこにライトを当てて撮影する子など、様々な工夫が見られました。
一人で撮る子は少なく、複数人で撮っている子が多かった印象です。たくさん撮った中から子供が1枚選びました。最終的にプリントアウトしてあげようかなと考えています。データではなく、実際に印刷して「もの」になることが、図工の中ではとても大切なことだと考えます。
いかがでしたでしょうか。今回は4校の取り組みをご紹介しました。
似たような題材でも、ねらいやアプローチの仕方、完成形などによって子供の活動が変わっていきますね。
コロナ禍でも、子供たちの心身は育っていきます。
我々大人も、コロナ禍のネガティブな側面ばかりに目を向けず、「コロナ禍だからこそ、気付ける何か、学べる何かがある」とポジティブにとらえて授業をつくっていけるといいですね。
次回も引き続き「持ち寄り研②」として、様々な実践をご紹介する予定です。
担当 練馬区立北原小 金垣 洋
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