河原 賢一(新宿区立戸塚第一小学校)

 本年度の研究テーマは「子供の心が動く時」である。図工の授業の中で、たくさんのことを感じて、実感して、学びへ向かっていくためには、子供の心が動くような教師の手立てが必要になってくると考える。新学習指導要領には「感性を育みとは、児童の感覚や感じ方を一層重視することを明確にするために示している。感性は、様々な対象や事象を心に感じ取る働きであるとともに、知性と一体化して創造性を育む重要なものである」とある。授業者は、一人一人の子供が、何にどのように心を動かしているのかということに目を向け、子供の視点に常に立ち戻る。その子にとっての「心の動き」が、どんな「実感」を紡いでいるのかを捉えていく。

 例えば、低学年で4月に春を題材とした絵に表す授業を行うのであれば…。図工室を飛び出し、校庭に出る。ワクワクする。春の暖かさを感じたり、春の虫の生命力を感じたり、春風の音色を聞いたり、春に咲誇る草花の匂いを嗅いだり…。身体や心で春を感じる。春の自然のリアルに触れる。友達と今という時を共有する。

 そうすることにより、「やってみたい!」という心の動きが芽生えると考える。そして、図工室に戻り校庭で感じた、たくさんのことをきっかけに活動は展開していく。絵の具の色や水の量、筆の使い方などを工夫することによって生まれる形の感じや色の感じ、色の組み合わせの感じ、画用紙の上を筆が滑る感じや手応えなどに対して、心が動く…。ドキドキしたり、不思議に感じたり、面白がったり、発見したりしながら各々の着地点へと進んでいく。子供の表現の欲求が自然に導きだされるように教師は題材を設定し、子供と対話し、共感し、共に悩み、迷い、価値付けをする。また、題材において教師が決めることと、子供が決めることのバランス・いい塩梅を思索していく。そして、その授業において子供がなにを摑み取っていくのかという授業のねらいをスマートにしていく。

 このような「子供の心が動く時」というテーマに迫るために、次のことに着目して研究を進めていく。

ⅰ 題材との出会いの工夫

 授業のはじまりの題材の提示の仕方に関して、子供の視点に立ち戻り吟味する。また、子供と共につくっていく授業を意識する。

 授業のはじまりでは、題材の核となる「造形的な視点」に無理なく自然に気付けるような、ワクワクドキドキするような、ついついやってしまうような題材の手渡し方を考えていく。

ⅱ 関わる時の工夫

 題材の展開で、子供たちが意欲的・主体的に人やものと関わりながら授業を進められるようする。学習の場・材料や用具、人、時間、情報、言語の工夫を行う。

 授業の中での子供の活動を事前に十分に想定しておく。児童の活動が展開していくと、様々な瞬間的な判断が教師に求められる。子供たちの表現や表情や言葉や動きから、どの子供にいつ関わるべきかをしっかりと判断し、そこに寄り添っていくようにする。

 研究局では、「子供たちは造形的なものやことと関わり、様々なことに心を動かし、感じることで、それぞれの個性を生かした表現を生み出すだろう。」という研究仮説を立てて、個々の学びを重視しながら、子供主体の授業づくりを目指していく。また、研究仮説の研究だけに終わらない、子供のスゴイ!!もみつけていく。)

TOZUKEN 2021

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