【レポート】「新学習指導要領~これからの図画工作を考える〜」

 令和元年6月24日(月)に新宿区立津久戸小学校にて、「新学習指導要領~これからの図画工作を考える〜」と題し、次期学習指導要領の全面実施に向けた、講演・研修会が開催された。

 岡田 京子 氏(国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官、文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官、文化庁参事官(芸術文化担当)付教科調査官)を講師にお招きし、図画工作科で育成する資質・能力を確認しながら、題材の目標と評価規準の立て方の例について、実際の授業の様子を基に解説をいただいた。 会場は、用意していた椅子が埋まり、体育館後方にあった平均台も埋まり、とうとう体育館の壁沿いに地べたで座って参加という方も大勢現れるという超満員となった。 

指導と評価の一体化 新学習指導要領改訂のポイント

 講演では、はじめに、今回の学習指導要領改訂のポイントについて、特に「指導と評価の一体化」(ねらいが明確でないと評価ができないということ)について、ご指摘いただいた。

 どういう活動を通して、どういう見方・考え方を働かせて、どういう資質・能力を育てるか―、これは全ての教科等の学習指導要領で示されており、図画工作科では、どのような活動を通して<造形的な見方・考え方>を働かせて、どのような<資質・能力>を育成するのか、学習指導要領を基に整理をしていくことが大事だということだ。 

題材の目標を立てることはできる

 その後、1つの題材を取り上げながら、具体的に題材の目標の立て方を解説いただいた。 

 各学年の目標及び内容の系統表を基に、内容項目や学年の目標に当てはめて整理し、実際に設定した題材で使用する材料や用具などに書き換えて具体度を上げると、そのまま授業のねらいとする文言ができること。そして、題材の評価規準の作り方は、題材の目標立てた文言の文末を変えることなどでできるということ。(指導事項の文末変えたら評価規準になるというのは、全ての教科で共通している。) 等々、たいへん具体的で、明解な解説をいただくことができた。


評価するのは、学校現場の先生方です

 その上で、もっと大切になることは、やはり現場の先生方一人一人と子供との向き合い方にあるという、重要なご指摘があった。

 つまり、評価規準はこれから書きやすい形になった。しかし、“言葉”はできたけれど、どうやって評価するのか? 子供たちの、どの姿がその規準を満たすのか? 

 「ここからは、先生方が実際やるしかありません。」 

 「来年の3月まで時間がありますので、目標をしっかり立て、ねらいをしっかり立てることを行っていきましょう。評価をはっきりすることは、目標をはっきりさせることです。」 

 さらに、「目標や評価規準を立てることは簡単にできるので、先生が、どんな授業を子供たちに届けたいか、ということにもっと時間をかけてください。先生自身が面白いものを見たり、旅行に行ったりすること、自身の感性を磨きながら子供たちの感性も育んでいって欲しいと願います。」とエールをいただいた。

 都図研としても、今後、研究や研修等を通じ、新学習指導要領への全面実施となる来年度に向けて、検証していける場をつくっていきたい。


東京都図画工作研究会

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