多摩図研と都図研 東京の図工教育の新たな時代へ

 平成30年度から、多摩地区図画工作研究会(多摩図研)が都図研に内包された。研究の運営に関わる改善だけでなく、互いの研究の交流を通して図工教育をさらに充実していくことが期待できる。実際このように、都図研ニュースを通して、全都に向けて多摩図研について発信することができるようになった。さっそく、現在の多摩図研の活動を紹介するべく、取材してきた。

多摩図研の今

 平成30年度の多摩図研の研究テーマは、「図工× ◯△□☆※… =わたし 〜自己決定する子を目指して〜」。若手からベテランまでの100名超が登録する研究部が中心となって、年に8本の研究授業を実施し、その内の4本は公開授業として多摩地区全域から数十名が参加する。さらに研修部を中心に、年に2回、夏季研修会と冬季研修会を毎年実施している。研修会では、アーティストや学芸員など外部からゲストを招いたり、先生方からテーマを持ち寄ったりして、ワークショップを行っている。

 多摩図研の活動について、研究部長の仙北谷先生(昭島・拝島三小)は、「チームをつくって授業研究をしているので、ざっくばらんに、わからないことをどんどん聞くチャンスがあり、若手が育っている実感がある」と話す。10月に行われた公開授業(八王子四小)を覗いてみると、2本の公開授業の後、ワールドカフェスタイルでの協議会の中で、若手も積極的に意見を交換し合い、ベテランの先生からは本質に踏み込んだ厳しい指導が飛び交い、熱気に溢れていた。今年度の段階では、まだ都内から参加できる体勢ができていなかったが、今後、多摩地区外からも公開授業や研修会に参加しやすいように、都図研広報部でも告知をしていきたい。



多摩図研のこれまで

 1963年(昭和38年)に、多摩地区図工教育連絡協議会としてスタートした多摩図研は、区部の約2倍の面積がある多摩地区(北・南・西多摩ブロック)の連絡協議会の役割を果たしてきた。

 戦後間もない1948年(昭和23年)に東京都図画工作研究会(都図研)が発足。50年代には、創造美育協会や造形教育センターなどの民間の教育運動や、城南六区図画工作研究会などの各地区の自主的な研究会が次々に発足し、図工・美術教育研究が活発化した。その時代の流れの中で、多摩図研は生まれた。

 その後、各ブロックの研究会が、都図研に内包されるように現在の形になってきた中、東西に長い東京都の地理的な理由もあり、多摩図研だけが継続的に独自に運営を続けてきた。1994年には、都図研に先駆けて研究部を立ち上げ、勢力的に研究実践発表を行うなど、研究を積み上げてきた。

 その最大の成果は、多摩地区(北・南・西多摩)各ブロックが、研究大会が行なわれる8年毎に単発的に研究するのではなく、各市町村の小教研での研究について頻繁に情報交換をするなど、日頃からブロックを超えた関係性の中で、継続的な研究を続けてこられたことだろう。

図工教育の新たな時代へ

 そして、2019年度の都図研大会の舞台は、南多摩ブロック(稲城・城山小)である。南多摩ブロックの各市と都図研の研究局と並び、初めて多摩図研の研究部として授業提案を行う予定だ。

 内容中心から資質・能力中心へと構造が大きく変わった新学習指導要領への移行期、まもなく平成も幕を下ろそうという、そんな時代の変わり目の今日。一方、若手教員は急速に増え、校務の多忙化が進むなど、学校教育を取り巻く課題は多い。地域を越え、世代を超えた、あるいは分野を超えた連帯と協働が必要なのだ。戦後間もない時代の教師たちが手弁当で集い、研究実践を重ね議論を尽くしたように、今、私たちも新たな時代に(子供たちが生きる10〜20年後に)向き合い、日々研究と実践を重ねていかなければいけないと、この取材を通して改めて感じた。

取材担当:渡邉裕樹 (昭島・つつじが丘小)


取材協力:横内克之先生(東京学芸大学講師/元都図研理事長)、大杉健先生(武蔵野大学特任准教授/元多摩図研副会長)、多摩図研研究部長 仙北谷和子先生(昭島・拝島三小)
参考文献:<多摩図研史誌>1997多摩図研史誌編纂委員会
取材へのご協力、ありがとうございました。

東京都図画工作研究会

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